相続には様々なケースがあり、なかなかこの文章の中で全てを伝えることは困難です。ここではごく一部しか紹介出来ませんが、死亡保険金はみなし相続財産のため、相続財産に該当せず、遺産分割及び遺留分の対象外であること等、生命保険が相続対策に非常に据わりの良く、有効な商品であることは広く知られています。
① 死亡保険金の非課税枠の活用
これはもっともよく知られている活用法の一つですが、相続税法第12条に定められている通り、500万×法定相続人数については、非課税で死亡保険金を受け取ることが出来、相続税負担が軽減されます。
② 生前贈与の活用
生前贈与とは、「贈与者」が生きているうちに、無償で自己の財産を与える意思表示をし、「受贈者」がそれを受諾することによって成立する契約です。
昨年末に2022年度の税制改正大綱が発表されました。相続税と贈与税の一体化が論じられていましたが、改正には至らず、引き続き暦年贈与の活用も効果的です。
受贈者1人につき年間110万までの贈与は、贈与税が課税されないため、生命保険商品を使って確実に実行します。以下のポイントで有効的に相続財産を圧縮出来ます。
●多くの人へ贈与する
受贈者一人につき、110万なので多いほど効果的に圧縮出来ます。
●長期(早期)にわたり贈与する
当たり前のことですが、長くなるほど効果は高まります。加えて、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産は、基礎控除額以下であっても相続財産に加算されるため、長期にわたって贈与するために、早期に始めることもポイントです。
*暦年贈与を活用する際は、定期贈与にならないよう注意が必要で、専門家への相談をお勧めします。
③ 遺産分割対策への活用
特定の人に資産が集中したり、相続財産の大半が不動産等の分割しづらい資産や自社株などの分割が好ましくない資産の場合、『争族』となる可能性があり、思い通りの相続が困難となるケースがあります。保険を活用する事により、「遺したい人に遺す」ことが可能になります。
●契約者=被保険者が共に被相続人の契約では、死亡保険金受取人を指定することで、確実に受取人に確実に保険金を届けるばかりか、①で述べているように非課税枠を活用できます。しかしながら、相続対策が遅れると高齢や健康状態により、保険加入が困難なケースも多々あります。その場合、次のケースも有効です。
●契約者=被保険者が相続人で、保険料負担者を被相続人とする契約です。一見、②の暦年贈与に似ていますが、これは相続税法第3条に定められており、死亡保険金と同様にこの保険契約に関する権利は、みなし相続財産となり、遺産分割及び遺留分の対象外です。この考え方は、保険料を負担した時点では利益の受益者は確定せず、保険事故発生・解約・相続によって、受益確定するという考え方です。従って、保険料負担者が生存中に保険事故発生及び解約した場合は、受益者に贈与税や所得税が課せられることになりますが、保険料負担者の死亡では、みなし相続財産となることにより、遺産分割対策として有効な活用法です。
離散を防ぐためにも遺言の作成を
色々と難しいことを述べてきましたが、冒頭に申し上げた通り、これらの活用法はごく一部です。また、多くの『争族』を見て来た小職からのアドバイスとしては、保険を活用した相続対策は勿論のこと、特に土地や自社株を含む相続は、必ず生前に法律の専門家に相談して、遺言の作成(考えが変われば新たに作成すれば良い)は、残された方々の離散を防ぐためにも大切です。
また、出来れば遺言の中に遺言執行者も指定頂き、その内容を主だった相続人に話しておくことが大切だと思います。揉めるのなら、被相続人の存命のうちです。そうであれば、また新たな対策も立てることは可能です。
過去の『争族』の殆どが、生前の被相続人は「仲も良いので、残った人間で決めれば良い」と言われていましたが、なかなか想う様にはなりませんでした。非常に繊細で面倒であるため、先送りしたい作業ですが、先送りして良いことはないと考えています
執筆者
株式会社 AIRE
森直基
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